2024年10月に入り、猛暑酷暑を忘れられる日々の中、訃報とは本当にせつない。神楽坂女声合唱団でしばしご一緒していた弁護士の大谷恭子さんの訃報に接した時、当時の事が一気に思い出せた。いろいろ思いだせばだすほど・・・言葉にならない時間が過ぎていった。
そして、俳優の西田敏行さん。昔、仕事場で一緒だった俳優のJちゃんと西田さんの舞台を観にいった時がある。「楽屋に挨拶にいこう❢」と彼女が言い、ついていったこと事があった。楽屋の西田さんは上半身裸。あの声で「ありがとね」と何度も繰り返し、大汗を拭いていた。その様子はまるでドラマのワンシーンのようだった。
あらためて西田さんのプロフィルを見た。なんでも5歳の時にお父様を亡くし、お母さんが再婚。実母の姉夫婦の元で養子として育つ。ある新聞のインタビューで「『かわいい子でいないと僕に居場所はない』って、かわいい子を一生懸命に演じました。そんなような思いが俳優という意識につながっていったと思います」と述懐する様子。「養父母に認めてもらいたい」と一途に・・・そんな自己表現はやがて、かけがえのない武器に変わったと
どの役にもその役の「本人」になりきってしまう役者さんだった。生意気な意見だが、芝居がうまいとか下手とかいう次元ではなく・・・あの人々の心の襞にしみこんでいく表情や声の抑揚。天才というものなんだろうなと感じた。残念でしかたない。ただただご冥福を祈ります。